抜歯手術で感染症 追加手術の麻酔ミスで死亡

東京歯科大学水道橋病院(東京都千代田区)で95年、埼玉県江南町の男性会社員(当時54歳)が手術中のミスで意識不明となり、その後死亡していたことが19日、分かった。男性の妻(55)が同大に約1億2300万円の損害賠償を求め、さいたま地裁熊谷支部に提訴していたが、大学側が過失を一部認め、和解している。医療事故情報センターによると、歯科や口腔(こうくう)外科手術のミスで、患者が死亡するケースは極めてまれだという。

 訴状などによると、男性は95年8月、東京都内の歯科医院で「歯槽膿漏(のうろう)急性発作」と診断され抜歯手術を受けたが感染症にかかり、同大に転院。同年10月、口内の傷口に菌が付着して組織が腐る病気の疑いで、ほおの切開手術を受けた。しかし、手術中に口内に分泌物などがたまり、気道確保が遅れたため意識不明になったという。
その後も意識は戻らず、男性は約1カ月半後に低酸素脳症で死亡。妻は97年9月、同大などを相手取り提訴した。
和解条項は原告の主張にほぼ沿うもので、「(あらかじめ気道を確保するため)全身麻酔で行うべき手術を局所麻酔で行った」と認めた。死因についても「手術中の気道閉そくで低酸素脳症になったと考えられる」としている。和解金額は非公表だが、原告側は「納得できる金額」と評価している。
原告側弁護人は「病院側の過失が認められ安堵(あんど)している。病院は再発防止に取り組んでほしい」と話している。一方、大学側の弁護人は「大学側に多少の落ち度はあった。遺族感情や裁判の長期化などにも配慮した」と説明。同病院は「本件を教訓として施設を充実し、管理体制を強化させたい」とコメントした。