糖尿病に劇症型 学会が実態調査

糖尿病のなかに突然発症して急速に重症化する劇症型があり、数日で死亡した例もあることが、日本糖尿病学会の初の実態調査で分かった。インスリンを体内で作れない1型糖尿病を新たに発症した患者のうち、2割が劇症型だった。学会は風邪や胃腸炎に似た初期の症状を見誤らないために、少しでも疑いがある場合は血糖値を測るよう、開業医や救急医らに注意を呼びかけている。

 劇症型は、1型糖尿病の一種で、糖尿病歴のない人が突然発症する。
学会の調査委員会(委員長・牧野英一愛媛大教授)が、1型糖尿病を多く診ている7都府県の10医療機関を対象に、91年から10年間の新規発症患者を調べた。その結果、222人のうち約2割、43人が劇症型だった。
また、全国の医療機関に劇症型の報告を求めたところ、118症例が寄せられた。25歳の男性は昏睡(こんすい)状態で救急搬送され、病院到着後約40分で亡くなった。吐き気や胃痛の症状が出た2日後だった。ほかにも劇症型で死亡したとみられる患者が4人いるという。
通常の1型糖尿病の発症は小児に多いが、劇症型は9割が成人だった。最初にのどの痛みなど風邪に似た症状があった人、吐き気や腹痛など胃腸炎に似た症状があった人が、ともに7割。血糖値が急速に上がり、のどが渇くなどの症状が出た後、平均4・4日で意識障害などに陥っていた。
劇症型は、調査委メンバーの花房俊昭・大阪医科大教授らが00年に初めて報告した。原因は分かっていないが、遺伝的な背景とウイルス感染などが重なり、膵臓(すいぞう)内のインスリン分泌細胞が数日でほとんど壊れて起きる、との見方が有力だ。
また、牧野委員長は、愛媛県内で独自に実施した調査で、劇症型の患者は全国で4000~1万人以上と推計している。
花房教授は「糖尿病と分からないまま亡くなっている人も多いのではないか」としており、調査委は「糖尿病に詳しくない医師が初期症状を見逃して手遅れになる恐れがある」として、開業医や救急医に初診時の血糖値測定と迅速な治療開始を呼びかけている。

〈糖尿病〉 血糖値を調整するインスリンが欠乏する病気。インスリンを分泌できない1型と、肥満や運動不足が引き金となってインスリンの出や効きが悪くなる2型などがある。国内患者は約700万人で、95%が2型。劇症型を含む1型はインスリン投与が治療の基本だ。